ミックスの前にオーディオ化する?しない?それぞれのメリット

皆さんは作編曲が終わって「さあ、これからミックスだ!」って瞬間、すぐにプラグインを挿したり音量レベルを弄り始めますか?

DTM関係の書籍やブログなどを読んでいると、ミックスの前作業としてインストゥルメントトラック(=ソフト音源トラック)を全てオーディオ化することが当たり前のように語られています。

僕の場合、制作楽曲のうちの8、9割ほどはオーディオ化せず、そのままインストゥルメントトラックにプラグインを挿していくのでこの風潮には少し疑問を感じていました。

そこで、今回はミックス前のオーディオ化についてメリット・デメリットなど再考してまとめてみました!

実際みんなどうしてるの?

感覚的にですが、周りのDTMerもオーディオ化しない派の方が多い気がしてTwitterでアンケートをとってみました。ご協力ありがとうございます!

結果、予想通り「そのままミックスを始める」人が61%と一番多くなりました。

「オーディオに書き出す人」31%。これは少数派と言っていい数字でしょう。

ぶっちゃけもっと偏ると思ってました。8%のハード音源野郎はそのまま頑張って欲しいですね。

オーディオに書き出すメリット

ぶっちゃけオーディオに書き出す作業って結構面倒なんですよ。では、なんでそこまでしてオーディオ化するのかというとそれなりにメリットはあるんですね。

メリット1.マシン負荷が軽くなる

ソフト音源は音を出す度にCPUで波形を計算したり、メモリからサンプルを読み出したりしていてマシンに負荷がかかるものです。

トラック数が多ければ多いほどマシンリソースを奪い、再生時に動作が重くなったり正常に再生されない、止まってしまうなどの問題も発生することもあります。

オーディオ化することでソフト音源は使用しなくなるので、大幅にマシン負荷が下がることに繋がります。結果、快適な環境でミックス作業ができるようになります。

たった1小節のワンフレーズのために1トラック使うコンプレクストロやコラージュ要素のある楽曲だと総トラック数が膨大になるためオーディオ化は必須と言えると思います。

メリット2.波形が見れる

オーディオ化すると波形が視覚的に表示されます。

ボリュームオートメーションをするときやコンプのかけ具合を調整するときにトラックの音量を視覚的に確認しならが調整できるのは便利かもしれません。

メリット3.波形編集、オーディオ編集ができる

MIDIではできない波形編集やオーディオ編集ができます。

たとえば、ピアノをオーディオ化して逆再生するとか

リズムにキレを出すためにブツ切りにしてみるとか

どちらかというと編曲的な部分かもしれませんね。

メリット4.音が波形レベルで決定できる

オーディオ化することで何度再生しても波形レベルで完璧に同じ音が得られます。

一見(一聴?)、ソフト音源というものは何度再生しても毎回同じ音を再生しているような気がしますが、実は波形レベルでは毎回異なる音を出している場合があります。

下図はSylenth1を立ち上げ、全く同じインストゥルメントトラックから全く同じ条件で書き出した音源の頭の波形を拡大したものです。肉眼でも位相が大きくずれているのが分かります。

波形の読み出しタイミングやアナログ感を出すためのランダム要素で毎回波形が異なってくるんですね。サンプラー系の音源はわりと毎回一緒の音で鳴ってくれるはず。

更に確認するには同じ曲を2回書き出してDAWに取り込み、片方の音源を位相を反転して同時に鳴らしてみてください。普通は逆位相を当てるとすべての音は無音になる筈ですが、消えない音があることがあります。

「聴感上一緒だからいいや~」とオーディオ化しないまま「ボーカル入りバージョン」と「カラオケバージョン」を2回に渡って書き出したとします。すると「カラオケ入りバージョンのオケ」と「ボーカル入りバージョンのオケ」は厳密には違う音になってしまう現象が起きます。勿論、この状態で逆位相を当ててボーカル抽出しようとすると消えない音が出てきます。(自分の同人CDでやったことある。辛い。)

これについてはどうでもいい人はどうでもいいかもしれないけど、僕は精神衛生上気持ち悪いし、作品としての完成度に関わると言っていい部分だと思います。

最近はアレンジプロジェクトでオーディオ化しない場合は、マスタリング前にステム化して、最終的なミックス工程をかませています。

メリット5.プロジェクトがソフト音源に依存しなくなる

オーディオ化せずにミックスしたプロジェクトを後から開こうとしたらある音源がなくてそのトラックの音が鳴らなかった!という経験はありませんか?(僕は何度もある)

オーディオ化することで使用していた音源がマシンになくても音が再生できるようになります。

サポート切れなどで音源が使用できなくなることは稀にあると思います。オーディオ化しておけば安心ですよね。

オーディオに書き出さないメリット

オーディオ化のメリットは思いのほか沢山ありましたね。では、オーディオに書き出さない方のメリットはなんなのでしょう。

メリット1.作業工程短縮

当たり前ですが、オーディオ化の作業が無い分、作業工程は減ります

しかし、オーディオ化した場合のトラブルの発生率や処理の時間を考えると実作業時間が短縮されるかは微妙なところかも…。マシンのスペックによりますが。

少なくともオーディオを1トラックずつ書き出して再生して確認する地味な作業はしなくていいので気分的には楽です。

メリット2.手戻りがしやすい

手戻りがしやすい。これが滅茶苦茶大きいんです。

その昔、外部音源を使用していた頃は必ずMIDIトラックで音源を鳴らして録音(=オーディオ化)しないとDAWではミックスできませんでした。その結果、ソフト開発でいうところのウォーターフォール型で、基本的には前工程に戻らない前提でDTMしていたことと思います。

現在はソフト音源の進歩でPC内で完結できるようになりました。録音しなくてもミックスができ、ミックス中でも編曲や作曲に戻ることができます。元々こういう環境でDTMを始めた若いDTMerの中には編曲、作曲、音作り、ミックスの切り替えを自由に行うスタイルの方も多いのではないでしょうか。つまり、スパイラル型DTMerですね。このような人達は前工程に戻りにくいととても困ると思います。

僕の場合、その両方を取り入れて、作る曲のジャンルによってやりやすい手法をとっています。なんせ外部音源もまだ使ってるものでウォーターフォール型の精神も必要になってくるんですね。

因みにオーディオ化のように後戻りできない編集を破壊編集、後戻りできる編集を非破壊編集と言ったりもします。デジタル制作はDTM以外の分野でも非破壊編集が重視されてきてると思います。

まとめ

さて、まとめということでそれぞれの手法の特徴を表にまとめてみました。

オーディオに書き出す オーディオに書き出さない
マシン負荷 軽い 重い
波形 見える
見えない
波形編集 編集できる 編集できない
出音 絶対に変わらない
変わる可能性がある
プロジェクト 音源に依存しない 音源に依存する
作業工程 書き出し作業が追加される 書き出し作業が短縮される
手戻り できない(面倒くさい) 簡単にできる

オーディオに書き出す場合のメリットが多いように見えますが、「手戻りが簡単にできる」という点は本当に大きいアドバンテージなので悩ましいところですね。

他人に最適なスタイルが必ずしも自分にマッチするとは限りません。メリット、デメリットを考えながら色々試してみて自分に合った制作スタイルを見つけることが大切だと思います。

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