ボーカル補正でピッチ、タイミング、音量を完璧に! | 歌モノ楽曲の作り方(4)

歌モノ制作したいという方を対象にノウハウを紹介してみるシリーズ記事です。

今回は前回、ボーカルさんに収録してもらった生のボーカルデータをオケとミックスする前にピッチ、タイミング等の修正を行う工程です。

90年代以前はピッチ修正なんてできなかったのだから生歌が上手ければ本当は要らないんじゃないかと常々思うんですが、現代ではアマチュアでも当たり前のテクニックになってきているので使わない手はありません。

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修正ソフト

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ピッチ修正ソフトはAuto-TuneMelodyneが有名ですが、今日ではDAWに付属しているものもあります。なんて時代に生まれてしまったんだ…。

大抵はピアノロール+波形という同じような画面なので一つ使い方を覚えれば他のソフトも触れるのではないかと思います。

僕はいつもLogicProX付属機能であるFlexPitchを使ってボーカル修正をしているので、今回はFlexPitchを使った説明になります。

因みにMelodyneは和音解析もできるので、どうしても単音に分離できない状況でピッチ修正をしたいときはMelodyneを使ってます。謎の技術の上の謎の技術。すごい。

実際に修正してみる

ボーカル音源の解析

  1. オーディオトラックにボーカルさんに収録して貰ったボーカル音源を貼り付けます。
  2. flexボタンを押してflexモードに切り替えます。
  3. トラックのflexボタンをクリックし、FlexPitchを選択します。

スクリーンショット 2016-03-05 2.02.59これでボーカル音源に対してピッチとタイミングを解析してくれます。

FlexPitch編集画面

トラック画面を開くと解析した音程が表示されます。

スクリーンショット 2016-03-05 2.14.26

ピッチを意味する連続的な白い線と、それを大まかに譜面化したmidiのようなノートで構成されます。

人間の歌はピッチが安定していないため、どの部分を音程として認識するかが一定ではなく、全体を選択して一度に補正する方法では正しい音程にはなりません。基本的には手動で1音1音直していく地道な作業になります滅茶苦茶面倒です。

ピッチ編集

実際に1音直してみます。

音の胴体が正しい音程になるように、ノートの中央上のハンドル(FinePitch)をつかんで移動します。

スクリーンショット 2016-03-05 2.17.28

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音符内で音程が安定していない場合は中央下ハンドル(Vibrato)をドラッグし、ビブラートの深さを調整します。

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歌にはしゃくりやビブラートといった装飾があるので、歌が上手い人でも1音中の音程は常に変化しています。ビブラートの値をゼロにすると機械的な声、いわゆるケロケロボイスになります。(ケロケロはAuto-tuneが使うことが多いらしいです。Logic付属でやる場合はFlexPitchよりPitch Correctionを使った方が良いです。)

たまに音程が変な場所で認識されている場合があります。前後の装飾が原因の場合が多いです。精神衛生上よくないのではさみツールで切って調整します。

スクリーンショット 2016-03-05 2.25.41

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1つの音符をしゃくりと本体で分けてもOKです。

2つ以上の音符が一つの音として認識されている場合もはさみツールで切ります。

スクリーンショット 2016-03-05 2.28.11

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はさみツールは良く使うのでピッチ修正するときは下記のようなツール設定にしてます。

スクリーンショット 2016-03-05 2.29.15

⌘+クリックですぐにはさみツールが使えて便利です。

タイミング修正

ピッチ修正が完了したらタイミング修正です。

ざっと聞いて、早かったり遅れている箇所があったらノートの端を前後にドラッグしてズラします。

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子音のピークを小節線に合わせる感じで良いとは思いますが、音によって感じ方が変わると思うので聞きながら調整した方がよさそうです。

声を伸ばす部分の切るタイミングがパート毎にズレている場合も多いので、合わせると歌に一体感が出ます。

リズムズレはグルーブ感を生み出す一つの要素なのでピッチほど神経質にはならないで良いと思います。

例外として、キー音の無い音ゲー用の曲の場合はボーカルがメトロノームになり、譜面とズレていると気持ち悪いのでガチガチに合わせた方が良いと思います。

音量修正

オケと混ぜて聴いてみてちょっと聞こえづらいなと思うところを上げます。また、ちょっと耳が痛いなと思うところは下げます。

ノート左下のハンドル(Gain)を上下することでノート単位で音量を変えられます。

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普通ボーカルの音量は一定にはなりません。が、オケと混ぜても全編通して聴きやすくなるように音量差をある程度無くさなければなりません。

ミックス段階ではコンプレッサーやボリュームオートメーションでも調整しますが、FlexPitchで音量の調整をしておくと後々の調整が微調整で済むので楽ですし、自然な仕上がりになります。

発音が悪く歌詞が聞き取り辛い場合はハサミツールで子音だけ切って大きくすると良くなる場合もあります。

まとめ

ボーカル修正作業は時間がかかる工程で、フルコーラスだと1パートに1時間ほどかけたりと長時間細かい作業をやることになり、僕みたいに地道な作業が苦手な人には結構辛かったりします。

勿論、元の歌が上手ければ修正は少なくていいし、仕上がりも自然になります。より良い歌を届けるためにボーカルさんはツールに依存せず、向上心を持って精進して欲しいものだなと思います。

…説教臭くなりましたが、きちんと補正しておくことでボーカルトラックの完成度は見違えるほど向上するので僕らも手抜きはできない工程ですね。

次回

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