パラデータ作成において気を付けるべきことまとめ

昨今、多数のサークル様、企業様からご依頼を頂けるようになって参りましたTiSです。

それに伴い、楽曲制作中に「ミックスを先方にやってもらう」、「原作者の証明」等の理由でパラデータの作成が求められる場面が多くなって参りました。

パラデータの作成って分かっているつもりなんですが、不備があって再提出となったことも実は何回かあります…。
こういう地味な作業って苦手で、すぐ集中力が途切れちゃうんですよね…。

そこで、今回はパラデータ作成する際に気を付けていることをまとめてみました。

これから初めてパラデータを作成する方はもちろん、いつもパラデータを作成しているぜ!という方の確認やおさらいになればと思います。

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パラデータとは

パラデータとは、楽曲をトラック(チャンネル)毎、または楽器毎に書き出したものです。

作曲、編曲が完了したプロジェクトには、シンセ、サンプル音源等のインストゥルメントトラックや、録音したギター、ボーカル等のオーディオトラックなど沢山のトラックが並んでいます。

ちなみに僕の例ですと、編曲まで終わったプロジェクトは50~100トラック程になります。

それら全てのトラックを混ぜて書き出したものが2mixです。

2mixでは各トラックにエフェクトを掛けたり、音量バランスを調整することができなくなります。

そこで、トラック毎、またはある楽器毎に書き出したものがパラデータとなります。

原作者でないとパラデータは提出できないため、「原作者であることの証明」としても使えます。

昨今、他人の音源を自分の音源だと偽って提出するケースもあるためか、企業様からの案件だとミックス済みの2mixに加えてパラデータの提出を求められることもあります。

パラデータのデメリット

パラデータには大きなデメリットがあります、容量の大きさです。

基本的にパラデータは提出データですので非圧縮音源(WAVやAIFF)となります。

例えば、4分の曲で1トラック40MBくらいの大きさになります。50トラックほどあればすぐに40MB*50トラック=2000MB(2GB)になってしまいます。

下は実際に納品したパラデータのフォルダ容量です。

やりとりするときは、なるべく容量を削減する、DLしやすいサーバにアップロードする、など相手への配慮をしたいところですね。

パラデータ作成のときに気を付けること

わからないことは先方に聞く

まず、大前提としてパラデータの仕様について不明な部分があれば必ず先方に問い合わせましょう。

ここにまとめは一般的なパラデータの仕様に沿ったものであり、案件や用途によって細かく仕様は変わってくるものです。

トラックを整理しよう

トラック名はしっかりと付ける

製作中、次のようなトラック名のままになっていませんでしょうか

  • ARP 303 Pulse
  • VEC2 Cymbals Crash 14
  • BA Falllowe (i)

シンセサイザーのプリセット名や、サンプリングのファイル名をそのまま入れてたりするんですが、これだと製作者以外にはどんな音なのか分かりづらいですよね。

パラデータのトラック名は先方が見て理解できなければ意味がありません。以下のようにトラック名から音が想像できるものに書き換えましょう。

  • Acid arp
  • Crash1
  • Bass

また、トラックの先頭に連番を付ければ先方が貼り付けた際に自動的に整理されて嬉しいと思います。

小ネタですが、Logic Pro Xではミキサー画面で複数のチャンネルストリップを選択して、

どれかのトラック名に「〜(数字)」と入力すると

自動で連番のトラック名が付けられます。

まとめるトラックはまとめる

細かい調整ができないからといって愚直に全てのトラック毎に書き出すとファイル数と容量が膨大になってしまいます。

そこで、ストリングスセクションやブラスセクションなどの同種類の楽器トラック、複数のトラックを重ねて鳴らすレイヤー音色などはまとめて書き出す場合もあります。

ここはトラック数やジャンルによっても変化してくる部分だと思うのですが、微調整が必要ないと思われるトラックはまとめてしまってもいいかもしれません。

ただしドラムは分ける

同じ種類の楽器はまとめてもいい可能性がありますが、ドラムだけはしっかりと分けて書き出しましょう。

分けるというのはドラムセットを

  • スネア
  • キック
  • ハイハット
  • クラッシュシンバル
  • タム
  • その他パーカッション

などのレベルまで分けて書き出すということです。

ドラムの音作り、音量バランス調整は特にシビアかつミックスへの影響が大きいので必ず分けて書き出してください。

サウンドは”素”の状態で

パラデータからミックスをするにはサウンドがミックス前の素の状態でなければなりません。

よって、不要なエフェクトは切ります。

コンプレッサー、リミッターなどのダイナミクス系とEQは外す

ミックスにおいてダイナミクス系(=音量・音圧を変化させるエフェクト)は要です。

すでにコンプかけた音源にコンプをかけると2重にコンプがかかってしまい思い通りの音にするのが困難です。

EQも多重がけすると音質の劣化や位相の変化につながります。

ダイナミクス系とEQは全て切って先方にお任せしましょう。

ディレイ、リバーブなどの空間系も外す

ミックスにおいてディレイ・リバーブなどの空間系はbusで同じものを使用して統一感を出すことが多いです。

各トラックに指している空間系エフェクトは原則切りましょう。

よくシンセサイザーのプリセットなんかでシンセサイザー付属のリバーブ、ディレイが鳴っていることがありますがこれも切りましょう。

もし、「音作りとして、絶対にこのディレイ、リバーブじゃないとダメなんだ。」というものがあれば先方と相談してみましょう。

パンはセンター

アレンジ中の仮mixでパン(定位)を左右にふっているかもしれませんが、必ず全てセンターにしてから書き出しましょう。

パンが寄ったまま書き出すと、ミキシング時の定位決めが困難になります。

書き出し前に

フォーマットに気を付ける

先方にあらかじめサンプリングレート、ビットレートを確認しておきましょう。

以下の範囲が多いです。

サンプリングレート:44.1kHz〜48kHz

ビットレート:16bit〜24bit

モノラルで書き出していい場合もある

音源の中には一部のドラムやシンプルなシンセ等、モノラルで鳴っている音源もあると思います。

モノラルで鳴っている音源をステレオで書き出しても同じ音源が左右から鳴るだけなので、容量削減のためモノラルで書き出す場合もあります。

書き出す範囲は頭から

トラック毎に最初に音がなるタイミングはバラバラだと思いますが、全トラック書き出し範囲は必ず曲の頭からにしましょう。

これはパラデータを受けとった先方がDAWに貼り付ける際に、音の時系列を保ったまま貼り付けられるためです。

書き出し

ここまで準備ができたらいよいよ書き出しです。

僕はLogic Pro Xを使用しているので、Logic Pro Xの話になります。他のDAWは各自で調べてね

Logic Pro Xには「ファイル」→「書き出す」→「すべてのトラックをオーディオファイルとして…」で全トラック個別に書き出してくれますが、batteryなどで作成したドラムのマルチ出力トラックのバラ出しは自動でやってくれないので

「全トラック書き出し」→「通常のバウンスで各個ドラムバラ出し」

という2段階で書き出しています。

また、注意しなければならないのがTrack Stack機能を使用している場合、スタックした中身のトラックとまとめたトラックの両方の音源ができてしまうので必要に応じて削除します。

最後にDAWに張り付けて確認

パラデータが書き出し終わったら、必ずDAWに貼り付けて確認を行いましょう。

全体を聞いて抜けている音がないか、1トラックずつ聞いて空間系の切り忘れはないかなどを確認します。

確認してOKなら圧縮して先方へ送りましょう。

おわり

冒頭に書いたとおり、パラデータは膨大なファイル&容量との戦いなので、つまらないミスで再提出になるともう泣きたくなります。

しっかり手順を確認して、スマートにパラデータ納品をキメましょう!!!

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