Logic Xから追加された「Track Stack」機能。
複数のトラックをまとめて整理できるところは勿論便利ですが、「集約スタック」を使って簡単に複数の音色をレイヤーした(重ねた)音色を作ることができます。
複数のトラックを同時に扱う「Track Stack」 | Logicers’ Inn
レイヤー音色の一例。一つの音色をES2、Massive、Nexus2など7トラック重ねて作っている。ちょっと重ね過ぎ感すらある。
目次
しかしテンプレ化できない
ユーロビートのリードのように太い音色を作る時便利なので僕もかなり活用してますが、TrackStackで作ったトラックはチャンネルストリップとして保存しても、スタックしたトラックまでは保存されてないので他のプロジェクトで使おうとしても再現できません…。
(スタックしたトラックをひとつずつ保存すれば再現可能だけどすごく面倒…。)
まるごとサンプリングしてしまう
「どうしたものか…。」と思いつつ毎回レイヤー組み直していたんですが、nmkさんから救いの手が!
パッチは作ってあるけど同じ音使おうとするといちいちレイヤーし直さないといけなかったりするから仙人式にサンプリングしてライブラリ化しようかな
— nmk/佐原誠 (@maji_nameko) April 27, 2015
なるほど。丸ごとサンプリングしてしまえば管理も楽だしCPUにも優しい。
因みに「仙人式」と言っているのは恐らく「ユーロバカ一代 VERSION 0.87 ADD-ON SOUNDSUPEREURO BRASS1」のこと。
仙人達の超高品位で即戦力なユーロビートブラスが6曲分入ってこの値段、ユーロビーターがこれ買わずして何を買う!!押忍ッ!!!
ユーロバカ一代 VOL.2 | ユーロバカ一代 version 0.87 ADD-ON SUPER EURO BRASS 1
集約トラックで作ったレイヤー音色のサンプリング方法
ということで実際にサンプリングする手順を紹介します。
今回使うのはLogic付属のサンプラー「EXS24」。シンプルながらも必要な機能は揃っており使いやすいです。
サンプリングする音色として、僕がユーロビートを好きになるきっかけとなった名曲「LUV TO ME(disco mix)/tiger YAMATO」のリードを打ち込んでみました。(若干アレンジしてます。)
6トラック重ねてます。単音ですが厚いリードができたと思います。
1.音色の調整
サンプリングする前に音色の調整をします。
今回は集約スタックにコンプレッサー、EQ、エキサイター、リバーブを刺していました。リバーブ、ディレイなどの空間系はサンプリングするときに残響が入っておかしなことになるのでリバーブは予めバイパスしておきます。
また、アタックが潰れたりしたら嫌なのでマスタートラックのL3-LL(マキシマイザー)も外しておきました。
2.サンプリング用MIDI作成
今回は「C1〜C6の61鍵盤、10秒ほど再生でループはなし」とします。
新しいMIDIリージョンを作成してください。曲の後ろに置くと既存のリージョンとまざらなくて楽です。
新しいMIDIリージョンにC1〜C6まで順番に10秒ほど(BPM160だと7小節くらい)のノートを61個置いていきます。ベロシティはお好みで。
ノートとノートの間はリリース音が完全に消えるくらい隙間を開けて下さい。
全体としてはこんな感じ。
長い。
一回作ったら今後のサンプリング用にMIDIファイルとして保存しとくといいかも。
3.サンプリング(バウンス)
作成したMIDIリージョンを右クリック>「書き出す」>「オーディオファイルとして書き出す…」を選択。
下記のような設定で保存してください。
保存フォーマット:AIFF
ビット数:24bit
ソフトウェア音源をマルチ出力:チェックなし
ノーマライズ:オン
結構時間がかかります。
4.リージョン切り
そのままのプロジェクトで続けてもいいですが、一旦閉じて新規のプロジェクトでやった方が精神衛生上良いです。
書き出したオーディオを新しいオーディオトラックへ読み込みます。
このオーディオリージョン上で右クリック>「分割」>「ストリップサイレンス」を選択。
しきい値、無音として扱う最低限の時間あたりを調整して綺麗に61リージョンに分割されるようにしてください。
「プリアタック時間」は必ず0.0000にしてください。アタックが遅れておかしなことになります。
よさそうならOKで分割してください。
5.サンプラートラックへ変換
分割したリージョンを全て選択し、右クリック>「変換」>「新規サンプラートラックに変換」を選択。
下記のような設定にてOKで変換。
ゾーンの作成元:リージョン
‘ワンショット’ゾーンを作成:チェックなし
EXS24インストゥルメント名:任意の名前.exs
トリガーノートの範囲:C1(36) 〜 C6(96)
6.サンプラーの調整
変換されたサンプラートラックを選択して鍵盤を押すと演奏できると思います。EXS24の画面を開き、editボタンを押すとインストゥルメンタルエディタが開きます。各鍵盤にサンプルが割り当てられてるのが分かります。
ここでインストゥルメンタルエディタの上部メニューの「インストゥルメント」>「サンプラー音源とサンプルファイルを書き出す」で別の場所に保存しておきましょう。作業中のプロジェクトファイルがどっかいっても音色を呼び出せるようになります。
サンプルファイルを書き出したらEXS24の画面でリリース、ボリューム、モジュレーションあたりを調整しましょう。リリースは元の音色を聞きながら近い値を探すといいです。
これでサンプリング完了です。EXS24のパッチ、もしくはチャンネルストリップとして保存しましょう。
そこそこ再現できた
サンプリングしたリードと元のリードと比べてみました。
元のリード:
サンプリング後のリード:
ピッチベンド、モジュレーションに変化はありますが…、そこそこは再現できています。
周期的に変化しない音、ベロシティで音量以外が変化しない音であればこの方法でサンプリングできると思います。
リード、ベースとかに使えそう。
音色はどんどんテンプレ化していこう
上記の方法でレイヤー音色もすぐに呼び出せるようテンプレ化することができました。
音色の作成は時間がかかるもの。可能であれば過去に作ったお気に入りの音色を再利用して、作業時間の短縮とクオリティの安定化を計りたいですね。