歌モノ制作したいという方を対象にノウハウを紹介してみるシリーズ記事です。
第3回の今回は「収録やりとり編」ということで、作曲が完了し、歌って貰うボーカルさんが決まっている状態から実際にボーカルを収録をしてもらう工程になります。
目次
収録方法
収録の方法は大きく分けてスタジオ収録と宅録があります。
スタジオ収録
レコーディングスタジオ等で立ち会って収録すること。
【メリット】
- プロ用の機材をお手軽に使える
- その場で即座に指示を出せる
【デメリット】
- スタジオの利用料金がかかる
- ボーカルさんと活動地域が違うと移動費がかかる
宅録
自宅や個人スタジオ等、プライベートな環境での収録。
【メリット】
- 収録用の機材が必要
- 時間を問わず一人で収録できる
- コストは初期投資(機材)のみ
【デメリット】
- レコーディングの質が相手頼み
- 即座に指示が出せない
- 騒音問題
インターネットをベースとしたボーカル活動をされている方は宅録で収録される方が多くなっています。
今回はボーカルさん側で宅録した後、音源を頂く形式を想定しています。
必要ファイルの準備
練習、収録用デモ音源
練習、収録用に必要な音源を準備します。
大抵、下記の音源が揃っていればボーカル収録が可能だと思います。
- カラオケ … 収録用
- 仮歌+オケ … 譜割り、歌い方の参考
- シンセメロ+オケ … 音程の参考
- シンセメロのみ … 音程の参考、音を録りやすいようにメロのみ
- リード
- コーラス(パート毎に)
容量節約でmp3でも構わないと思います。
歌詞
所謂歌詞カードです。テキストかPDFでいいと思います。
メロ譜
メロディと歌詞が載った譜面。PDFでいいと思います。Logicなら割と簡単にできます。
(本当は毎回付けたほうがいいのですが、僕はメロディが難しい曲の時だけ付けてます…。)
指示書
人によってはメール内で指示することもあると思いますが、僕はテキストファイルで別途指示書にまとめてます。
書く内容は、
- デモ音源の説明
- 歌い方等の指示
- 提出フォーマット
- 提出データ一覧
- 締切
です。
実際に書いてみたのが以下です。
×××(曲名or件名)歌唱指示書
○○○様
【デモ音源の説明】
・oke.mp3 … カラオケ音源です。
・kari.mp3 … 仮歌入りのデモです。
・demo.mp3 … シンセメロ入りのデモです。
・lead.mp3 … リードシンセメロのみです。
・choir.mp3 … コーラスシンセメロのみです。
【歌唱について】
今回は激しいユーロビートですので、力強い雰囲気を目指して頂きたいです。
コブシ、ビブラートは強めに入れて構いません。
厚さを出すために各パートを2重録音します。
【提出フォーマット】
形式:無圧縮wav、モノラル
サンプリング周波数:44.1kHz
量子化ビット数:16bit
音割れには注意して下さい。
【提出データ一覧】
・リード×2テイク
・コーラス×2テイク
計:4テイク
【締切】
2015年12月31日 23:59:59迄
以上、よろしくお願いします。
TiS
提出フォーマット、締切は依頼時にも伝えてある筈ですが、間違いがないように指示書でも書いておいたほうがいいです。
歌唱指示についてはなかなか難しいところですが、何も指示がないとボーカルさんも不安です。
脳内でイメージしている歌い方を言語化できればいいのですが…。
リファレンスにした曲やイメージが近い楽曲があれば参考に教えておくのも手です。(Youtubeに上がってればURLとか)
必要ファイルが準備できたらzipにまとめてボーカルさんに投げましょう。
ボーカル収録
ここまできたらボーカルさん頼みなのですが、曲や歌詞や歌い方についての細かい質問等もあるのですぐに対応できるようにしておきましょう。
本番前に仮歌貰えたりすると雰囲気合わせができて大変良いですね(^v^)
収録に関する技術的な話はボーカルさんの範疇とし、ここでは扱いません。
歌唱データの確認
ボーカルさんに歌唱データを頂いたら、できるだけ早く確認作業を行いましょう。
僕は頂いた歌唱データとカラオケ音源をDAWで読み込んで、ピッチ解析までした状態で確認作業を行います。
見る観点としては
- ピッチの正確さ
- リズムの正確さ
- ノイズの有無
- 歌い方
- 音量レベル
- その他ブレス等
です。
ノイズはリップノイズやポップノイズだったら部分的に修正を依頼しましょう。
ヒスノイズが大きすぎる場合は全リテイクになるかもしれません…。
(Waves X-Noize、Z-Noize等のノイズ除去プラグインを試すのもアリですが…。)
ピッチ、リズムは修正ソフトで修正して違和感が出ないレベルならOKとしています。
危ういところはその場で直してみて違和感が出ないか確認しましょう。
歌い方がイメージと大きくズレている場合は厄介です。
プラグイン等で修正できない部分が大きいですし、リテイク範囲も多くなります。
修正可能かボーカルさんとよく話し合うしかないですね…。
音量レベルは、ダイナミクス系エフェクトやオートメーションで直しますがなるべく均等の方がいいです。
Aメロ等が声を張り上げるサビに比べて小さくなる現象は仕方のないことですが、収録時の環境や設定の問題であまりにも音量がバラバラだった場合はリテイクが必要かもしれません。
たまにブレスをカットする方も居ますが、ジャンルによっては結構重要なエッセンスだったりするのでリテイクで入れて貰ったこともあります。
どこまでこだわるかは難しいところです。ボーカルさんも無限にリテイク対応はしてくれないと思います。(こういう部分で前回のボーカル選考部分が響いてきますね。)
現在は修正ソフトもありますし少々は妥協も必要だと思います…。
確認してOKならボーカルさんにお礼と一緒に報告しましょう。
ミックス作業に移ります。
リテイク
どうしても修正が必要な場合、リテイクを出します。
気を付けたいところは下記の点くらいでしょうか。
- 修正してほしい点を明確に伝える
- 修正が可能か話し合う
- 締切を決める
険悪にならないよう、言葉には気を付けてしっかり話し合いましょう。
リテイクデータが頂けたらまた確認作業です。
次回は「ボーカル修正編」ということで頂いたボーカルデータの補正を行います。お楽しみに!