ボリュームオートメーションでボーカルの音量を徹底管理 | 歌モノ楽曲の作り方(5)

歌モノ制作したいという方を対象にノウハウを紹介してみるシリーズ記事です。

今回はボーカルデータにボリュームオートメーションを施し、均一な音量にしてミックスしやすくするための工程です。

「ボリュームオートメーションはミックス記事に入れちゃっていいかな~」と思ってたんですが、結構長くなりそうなので記事を分けました。

ボリュームオートメーションとは

スクリーンショット 2016-04-17 0.10.35

まずオートメーションとは、DAW上の特定のパラメータの動きを記録し、再生するものです。これにより楽曲中で自由な音の変化を表現することができます。

音量(=ボリューム)にオートメーションを施し、楽曲中で音量をコントロールすることをここではボリュームオートメーションと呼びます。

音楽の制作環境がDAWになる以前からミキサーのフェーダー操作で行われてきたテクニックで歴史は古いようです。

なぜボリュームオートメーションするか

生のボーカルデータというものは普段聞く音楽に比べて音量差が激しいものです。

スクリーンショット 2016-05-14 18.11.15

原因として、ポジティブなものでは、

  • 曲の展開、使用する音域によって音量をコントロールしている(Aメロは小さく、サビは大きくなど)
  • 表現としての意図的な局所的音量変化(ポップスではあまり必要ない)

ネガティブなものでは

  • 声量をコントロールできてない
  • レコーディングの技術不足

圧倒的にネガティブな要因の場合が多いと思います。

どちらにせよ、音量差が大きいままミックスすると聴き辛くなってしまいます。

例えば、下記のような音量遷移のABサビ構成のオケとボーカルデータがあったとします。

volume1

※四角形の大きさは音量を表します。

ボーカルデータは未処理のために音量差が大きくなってます。

これをミックスする際に、

Aメロに合わせてボーカルを大きめでミックスすると、

mixA

サビでボーカルがうるさいし

サビに合わせてボーカルを小さめでミックスすると、

mixB

Aメロでボーカルが聞こえない

という現象が起きるためです。

これを解消して聴きやすいボーカルトラックを作るためにボリュームオートメーションによる音量補正を行います。

mixc

ちなみに、音量差を小さくするにはダイナミクス系のプラグイン(主にコンプレッサー)も使用されますが、あまり深くかけると音量が大きなところで潰れすぎたり大きく音が変化するので、まずは前段階でのボリュームオートメーションをオススメします。

オートメーションの書き方

実際にどのようにオートメーションを施すのか紹介します。

オートメーションの使い方はDAW毎に違うので詳しくはマニュアルを見てね!

オートメーションを書くには以下の2通りの方法があります。

  • マウスでぽちぽち書く
  • フィジカルコントローラーやムービングフェーダーを使って書く

フィジカルコントローラーやムービングフェーダーで書く方法は再生しながらリアルタイムで書けるので非常に素早く書ける反面、音量に対して即座に手元に反映する技術が必要なので、かなりの慣れが必要になると思います。

実は僕もFaderPortというコンパクトなムービーングフェーダーを買って一時期使っていましたが、結局マウスで直してしまうので徐々に使わなくなり売り払ってしまいました。ちなみに製品としてはとても良いものだったと思います。

追記:FaderPortのレビュー書きました

PreSonus FaderPort 今更レビュー。動くフェーダーが超気持ちいい!!
ムービングフェーダー付きフィジカルコントローラーとして人気のPreSonus FaderPortのレビュー記事です。 PRESONUS...

動画ような使い方はしません。

フィルターなどわかりやすい効果、エフェクティブに書くオートメーションでフィジコンを使うのはオススメですが、音量はかなりシビアなパラメーターなのでまずはマウスをオススメします。

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大雑把にボリュームオートメーション

まずは展開による音量差を大雑把に補正します。

スクリーンショット 2016-05-15 13.25.48

黄色い線がボリュームです。

Aメロ〜Bメロにかけて+2.5dbくらいしています。

Bメロの最後〜サビにかけてはそのままです。

これで展開による音量差が少なくなりました。

書き出して比較するとこんな感じです。(上:元データ、下:大雑把にオートメーション後)

スクリーンショット 2016-05-15 13.33.04Aメロ〜Bメロが持ち上げられて音量差が少なくなっているのがわかります。

細かくボリュームオートメーション

大雑把にオートメーションした結果を見ると、飛び出ているところや小さすぎるところが気になります。聴感上もうるさかったり聞こえなかったりします。

このような部分は音源を聴きながら細かくオートメーションを書いていきます。オケと混ぜながら聞くと実際に曲の中でどのように聞こえるのかが分かりやすいです。

スクリーンショット 2016-05-15 13.46.04

Bメロの後半をこのように書いてみました。

書き出して比較するとこんな感じです。(上:大雑把にオートメーション後、下:細かくオートメーション後)

スクリーンショット 2016-05-15 13.48.58

さらに音量差が縮まっているのがわかると思います。

プラグインによるオートメーション

今回のようなボリュームオートメーションを自動でやってくれるWaves Vocal Riderなんてプラグインもあります。実は僕も持ってます。

vocal-rider-live

サイドチェインでオケを聴きながら補正してくれる優れものなんですが、どうにも手動で修正した方がいい結果になるような気がして時間がない時くらいしか使ってません…。

おわりに

とても便利なボリュームオートメーションですが、前回のボーカル補正と同様でやりすぎると抑揚がなくなり面白みのないボーカルトラックになってしまうので注意が必要です。

また、ボーカル以外のミックスでもボリュームオートメーションは有効な手段です。

僕はユーロビートでリフの時だけリードを持ち上げて、その他はボーカルと喧嘩するので下げるとかよくやってます。

ちょっと手間はかかるけど効果は絶大なので是非試してみてください!

次回

作成中

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